賢い家作りへの道

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窓の材質編

前々回と引き続き窓についてです。窓は、採光や通風などの他にも家全体の断熱性能にとって以上に大きな役目があります。

夏場、外気の熱が家の内部に出入りする割合は、家全体で見たとき窓は何パーセントを占めるかご存知でしょうか?なんと約71%にもなります。

冬場、内部の温められた空気が、外部に逃げる家全体における窓の割合も約48%にもなります。特に冬場はこれが理由で窓に結露を発生させ、カビの発生・アレルギーの原因の1つにもなっています。

つまりは、家の中でも窓の断熱性能を上げること省エネに対して効率的であり、健康的な住宅にもつながると言えます。今回は、窓の枠とガラスの材質とその性能について説明させて頂きます。

1.窓枠

ⅰ.木

日本の家は昔から木で出来ていて、窓枠も同じように木でできていました。断熱性能があり熱を比較的通しづらい・吸湿性能がある・加工性のよさ・環境への影響が少ない等のメリットがあります。

しかしその一方で、木は自然素材の為に伸縮やそりが大きく、その結果窓に隙間ができて動きが悪くなったり、隙風が入るようになる、腐敗する、耐火性能を満たさないなどのデメリットがあります。

以上の理由から、ここ数十年の間でほとんど使用されなくなってきました。

ⅱ.アルミ

 木に変わり、数十年前からサッシと言えばアルミサッシとアルミが台頭してきました。製品自体の変形が少ない為、窓の動きがずっとスムーズで隙間風の心配もなく、錆びづらく燃えにくい性能も有する、そして何より軽くて施工効率がよい点から木製サッシに変わりこぞって使われるようになりました。

しかし、1つ重大な欠点がありました。それは熱伝導率が高い、すなわち断熱性能ほとんどないことです。冬場に暖かい部屋の中で、サッシを触った時にヒヤッと感じた経験はありませんか?これは外部側のアルミ部分が、外部の冷たい空気に触れて素早く内部に伝達するからです。これによって、せっかく空調した中の空気が外気の影響を受けやすくなり空調効率が悪くなるのです。また結露の引き起こし、カビを発生させ、アレルギーの原因の1つになっていると言われています。

ⅲ.複合(外部がアルミ製+内部が樹脂製)

 アルミ製品の問題を解決する為に開発されたもので、ここ数年でのシェアは1番となっています。外部に面する部分はアルミ製で、内部に面している部分は熱を伝えづらい樹脂製でできています。これによって断熱性や結露の問題の大部分は解消されます。樹脂を内部だけとしているのは、樹脂の方がアルミより値段が高い為です。

ⅳ.樹脂

 全てが樹脂でできたサッシもあります。断熱性能が格段にアップし、北海道や東北の寒冷地では徐々にシェアを伸ばしています。また、金属製品ではできなかったデザインが高いものもあります。ただし、もちろん値段の方もアップします。

2.ガラス

 ガラスには網入りガラスや強化ガラス等、防火や防犯に特化したものがありますが今回は断熱性能をメインに分類し説明致します。

ⅰ.単相ガラス

 名前の通り通常の1枚ガラスのことで、フロート板ガラスとも呼ばれます。最も一般的に使用されてきましたが、熱を通しやすくその結果空調効率を下げ、冬場は結露を引き起こします。

ⅱ.複層ガラス

 単板ガラスの欠点を補うため、開発されたのが複層ガラスです。複数枚のガラス(2枚の場合はペアガラスとも呼ばれます)を重ねさわせ、中に空気層を設けることで断熱性能を高めています。より断熱効果を高める為に空気ではなくアルゴンや真空層としたものもあります。今家にあるガラスが単板ガラスなのか複層ガラスなのかを見分けるには、斜めから枠を見て空気層があるか、窓を開けて親指と人差し指で厚さを確認すれば、容易に見分けがつきます。

ⅲ.Low-eガラス

 Low-eとはLow emissivityの略で日本語では「低放射」と言う意味です。複層ガラスの1つですが、ガラスの片側の表面に酸化スズや銀などの特殊金属膜をコーディングしています。金属膜が放射による熱の伝達を抑えるため、従来の複層ガラスに比べ断熱性能が高くなり、冷暖房負荷を大きく削減することができます。また、紫外線や人体に有害とされる電磁波等も、より多くカットすることができます。

その中でも外側ガラスの内面側に特殊金属膜を設けたものを「遮熱高断熱複層ガラス」、内側ガラスの外面に設けたものを「高断熱ガラス」と呼びます。夏期に冷房効率を重視する場合には前者を、冬場に暖房効率を重視する場合は後者がいいと言われています。

デメリットとしては金属コーティングがしてある為、ガラスに若干の色がついています。つまりは透明感が少し低下し、部屋の中が若干暗く感じ、わずかながら外の景色に色がついているようにみえる点です。

 いかがでしょうか?窓の性能等の知識になりましたでしょうか?

総務省の統計で、築25年経った家の改修率の統計があるのですが、台所・浴室等の水回りが52%なのに対し、窓の改修率はわずか4%にとどまっています。しかし上記の通り、窓を改修することは、快適で健康な住まいに役立ち、電気代等の節約にもなるのです。

窓をごっそりと交換するのは外壁も補修する必要もでてきて、日にちがかかる大きな工事になる場合もある為、内窓をつけて空気の中間層を設けて断熱改善を図ると言う方法もあります。窓について何か気になることがございましたら、一度ご相談くださいね。

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